千葉日報ウェブ 「学びの軌跡つづる 開設25年の記念誌発行 松戸自主夜間中学」2009年09月04日14時12分[県西エリア]

松戸市で市民らの手で運営されている松戸自主夜間中学校の開設25周年記念誌「北斗」が発行された。義務教育を満足に受けられなかった人たちに、年齢・国籍を問わず学べる場を提供しようと発足した同校。記念誌では、授業を受けた生徒たちの学びの軌跡が心温まる筆致でつづられている。


同夜間中学校は1983年に開校した。生徒6人、スタッフ11人の船出だった。松戸市内に公立の夜間中学校を開設してほしいとの市民運動がきっかけだったが、公立校の開校には至らず、自主運営の形で授業をスタート。いつしか四半世紀が過ぎた。


これまでに授業を受けた生徒は述べ1300人。戦争による社会的混乱やいじめによる不登校などさまざまな理由で一時、学びを断念せざるを得なかった人たちだ。日本語の習得に励む外国人の生徒もいる。


授業は現在、毎週火・金曜日に松戸市勤労会館で行っている。毎回30〜35人ほどが学びに訪れる。年齢は10代〜80代までと幅広い。運営は「松戸市に夜間中学校をつくる市民の会」(藤田恭平代表)の会費などでまかなっている。教材はスタッフの手作りだ。


記念誌は約1年がかりで制作。市民の会が依頼した生徒、卒業生たちの文章が収められている。知的障害のある少女は、同校に通うのが楽しみで、悩み事があるときはスタッフに相談して前向きになれたことを書いた。


小学生のときに不登校となり、中学にまったく通わなかったという男性は、同校で仲間ができ「また学校に行ってみようかな」と思い始めて定時制高校に入学した経緯をつづった。


ほかにも昼間は働き、夜には同校で漢字の勉強をしたブラジルからきた女性や教える側のスタッフの苦労など計約70本の文章が寄せられている。


藤田さんは「開校して26年が経ってスタッフ、生徒とも顔ぶれが大きく変わった。でも、公立の夜間中学をつくってほしいとの願いは変わりません」と話している。記念誌や同校の問い合わせは市民の会の榎本さん、電話090(3103)1006。

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