夜間学級:「青春学校」15周年 ボランティアと振り返る−−北九州・八幡西 /福岡

毎日新聞の記事

さまざまな事情で学校へ通えなかった人たちが日本語の読み書きや計算などを学ぶ夜間学級「青春学校」の15周年のつどいが23日、八幡西区の穴生市民センターであり、生徒やボランティアら約100人が15年を振り返った。


青春学校は94年5月、ボランティアスタッフの運営による自主夜間学級として開設。貧困や戦中戦後の混乱などで教育を受けられなかった在日コリアンや日本人ら高齢者を中心に約20人が、平日夜に穴生小と穴生市民センターで学んでいる。


つどいでは、世話人代表の稲月正・北九州市立大教授が「活動を通して私たちには何ができるのか。回答の一つが、青春学校の歩みを記録し、みんなの記憶にしていくこと。それがよき社会の仕組み作りにつながっていく」とあいさつした。


在日コリアンの田中礼子さん(76)は「7歳の時に日本に来たが勉強はできず、自分の時間が持てるようになったのは60歳過ぎ。やめようと思ったことはない。来ると楽しいから」と思いを語った。


「もっと日本語が上手になって手紙を読めるようになりたい」「自分の名前が書けるようになってすごくうれしい」「漢字検定に向けた勉強をするのが今の私の生きがい」。壇上の生徒からは、これからの夢や学校への感謝の念が語られた。


柳井千代子さん(74)は「多くの人の愛情で楽しく勉強させてもらい、私たちは青春を取り戻している。けれどいつまでもボランティアの皆さんに甘えていいものか。九州にも公立の夜間中学がほしい」と願いを語った。【佐藤敬一】

毎日新聞北九州版 2009年5月24日
http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20090524ddlk40040212000c.html