青春学校の自分史おひろめの記事

2008/06/07付 西日本新聞朝刊

八幡西区の自主夜間学校で学ぶ女性2人 2年かけ「自分史」刊行 金命祚さんと崎田ミサヲさん


 八幡西区鷹の巣の自主夜間学校「青春学校」で学ぶ女性2人が、戦前戦中からの苦難と喜怒哀楽の歩みをつづった「自分史」を刊行した。鉛筆をなめなめ2年がかりで書き進めた。5日夜開かれたお披露目会では仲間やボランティアから温かい拍手が贈られた。


■ボランティアと共同作業 「喜怒哀楽」つづる


 「青春学校」は1994年に開設した識字教室。在日コリアンやお年寄りなど、さまざまな事情で小中学校に通えなかった人たちが読み書きを学んでいる。世話人代表の稲月正・北九州市立大教授(47)が「彼らの人生は歴史そのもの」と、自分史での記録を提案。3年前から青春学校の事業として取り組んだ。


 自分史を執筆したのは在日コリアン一世の金命祚(キムミョンジョ)さん(75)=小倉北区=と、日本人の崎田ミサヲさん(83)=小倉南区


 2人はそれぞれ学習ボランティアとペアになって執筆を進めた。金さんは同市立大4年の高田江里子さん(21)、崎田さんは九大大学院生の添田祥史さん(29)が支援。聞き取り方式で古い記憶を呼び起こしながら、書く内容を浮かび上がらせた。


 戦前、父を追って家族4人で来日した金さん。幼いころの出来事をたどり、戦中戦後の窮乏生活や思い出をつづった。「つらすぎて記憶の中に閉じ込めていたこともありました」と振り返る金さんだが、「書いてよかった」と晴れやかな表情。


 崎田さんは「自分史を読んだ孫(29)が『ばあちゃんも苦労してきたんやねえ』と顔中を涙で濡らしとった」といい、「今は幸せです」と目頭を押さえた。お披露目会では添田さんらも「おばあさんたちのことを誇りに思う」と祝福していた。


2008年6月7日 10:25 カテゴリー:九州・山口 > 福岡

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