「世の中カラーになったよう」 よみかき教室 希望の灯10年 福岡市


戦争や経済的な理由などで読み書きの教育が十分にできなかった人たちが通う福岡市の「よみかき教室」が今月14日、開設10年を迎えた。学舎(まなびや)でもある市立千代中(同市博多区)の教室で16日夜、祝賀会を開く。


「教室」は毎週水曜と金曜の夜に1時間半‐2時間開かれ、在日韓国・朝鮮人のハルモニ(おばあさん)を中心に50‐80代の25人が読み書きや九九を学ぶ。教師OBや学生らボランティア35人が指導する。


「今は新聞を読めるようになるのが夢」と語る同市東区のハルモ2、金奇粉(キムキブン)さん(85)は、第1回の授業から「雨の日も雪の日も」休んでいない。「最初に読めたのは『この先行き止まり』の看板。道の真ん中でうれしくて何度も読み返した」


年度末に毎年発行される文集には「世の中が白黒からカラーになったみたい」「教室にともる灯は、私の希望の明かりです」など、生徒たちの喜びの言葉が並ぶ。


教室の代表を務める筑紫女学園大の木村政伸教授(教育学)によると、公立の夜間学級「夜間中学」は全国に35校あるが、九州・山口には1校もなく、地域のスタッフが自主的な運営を続けているのが実情という。


=2007/05/16付 西日本新聞夕刊=
2007年05月16日14時03分

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/fukuoka/20070516/20070516_019.shtml