笑顔の中に学べる喜び
識字教室のハルモニが交流

笑顔たっぷりに、手話を交えながら
歌を披露するハルモニたち

■□「生まれ変わっても学びたい」
"70歳の手習い"発表
【兵庫】自分の名前を書きたい、文字を学びたい―と夜間中学や識字教室に通う在日同胞のオモニ・ハルモニたちと指導に当たる先生の交流会が26日、生徒や先生二百余人が参加して神戸市の長田公民館で開かれた。

参加したのは神戸市内にある夜間中・高校と自主的に開設している識字教室で読み書きを学ぶオモニ、ハルモニや日本の生徒たち。各教室別に生徒や教師が壇上にあがり、自慢の学舎を紹介した。

今年、神戸市立兵庫中学北分校の卒業生のうち4人のハルモニは4月から市立湊川高校に進学する。そのうちの一人、金南喜ハルモニ(77)は「生まれ変わったら馬になりたいか、花になりたいか…。やっぱり人間になって、小学校1年生から勉強したい」と学ぶことのすばらしさを切々と訴えた。

また湊川高校を卒業した許八先ハルモニは「隣近所だけの小さな社会しか見えなかったのが、高校で学ぶようになると世界の流れや情報社会の仕組みが分かり、大きく物事が見えてきた」と生きる自信につながったと語った。卒業生5人による体験発表に会場からは大きな拍手が湧いた。

オモニ、ハルモニ手作りのおにぎり、チヂミ、キムチなどでおなかを満たした後、生徒による手話を交えた小話や歌が披露された。また韓国民謡が流れると、居ても立っても居られないハルモニたちが踊り出す一幕もあった。

会場の壁には「め(目)もあかん、みみ(耳)もあかん、でもじ(字)をよみたい」など識字学級で学んできたオモニ。ハルモニたちの習字などが壁一杯に張り出された。

識字交流会は今回が2回目。それぞれの教室で学ぶ生徒同士の交流と指導者の交流によって、より有意義な識字環境を作っていこうと神戸識字交流会実行委員会の呼びかけで開催された。実行委員会の藤井隆英代表は「今後も幅広い教室に呼びかけて、開催していきたい」という。

今回は神戸市立の夜間中、定時制高校内の識字教室と神戸市が公民館で開催する教室。そして阪神大震災を契機に、地域で自主的に形成された教室が参加した。

震災後に設置された自主教室は、震災時の避難所生活の中で字が読めない書けないために不便を被ったハルモニたちに識字教室を、と地域同胞や日本人ボランティアが中心になって構成された。かがわオモニハッキョ、ひまわりの会、御影よみ・かき教室などがあり、生徒からの会費や募金で運営されている。

現在、神戸市内には公立夜間中学校が3校、公立定時制高校内の識字学級が2つ、神戸市内公民館に4つ、自主運営の識字学級が5つの合わせて14教室がある。また明石や尼崎など神戸市外に五つが運営されている。

神戸識字交流会実行委員会の問い合わせは、ひまわりの会、電話078(512)3703へ。

(2000.03.29 民団新聞)
http://www.mindan.org/shinbun/000329/topic/topic_k.htm