山田洋次監督の映画「学校」のモデルの一人として知られ、東京都内の夜間中学校の教師を40年以上務めた見城慶和さん(69)の講演会が21日、小倉南区の城野市民センターで開かれた。


北九州市に夜間中学をつくる会(吉田修会長)などの企画で、市内に2か所ある夜間学級の生徒や地域住民ら約80人が聴講した。見城さんは夜間中学の設立に奔走した経験や生徒との交流など体験談を紹介し、「学ぶことは楽しさと、生きる力につながる。これを実践しているのが夜間中学です」と訴えた。


会場では、戦中戦後の混乱で義務教育が受けられなかったという年配男性が「字が読めないことに恥ずかしさを感じる。夜間中学で学んでいる人たちも同じ気持ちなんでしょうか」と質問すると、見城さんは「夜間中学の生徒に教えられることも多かった。いつまでも学びたいと思う気持ちに年齢は関係ないですよ」と励ました。


今年で結成10周年を迎える同会の吉田会長は「講演を通して、夜間学校の存在、必要性を市民に知ってもらうことの重要性を感じた。署名活動や行政に訴えかけるなど活動を粘り強く続けていきたい」と話した。


同会は2005年4月から北九州市教委の協力を得て、穴生小(八幡西区)と城南中(小倉南区)の2か所で「夜間学級」を運営。生徒約50人が週5回、勉学に励み、小学1年生レベルの読み書きから学習し、中学生と同じ科目も履修している。

(2007年4月22日 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukuoka/news006.htm