北九州市自分史文学賞:大賞に筑紫野市・中田勝康さん /福岡

第17回北九州市自分史文学賞の選考会が16日、戸畑区の西日本工業倶楽部であり、筑紫野市の団体役員、中田勝康さん(61)の「大坂町筋鳥町通り」が大賞と北九州市特別賞に選ばれた。


中田さんは両親の離婚後、最初は父に引き取られたが、やがて父は大阪へ出奔。その後は小倉で飲食店を切り盛りする母に育てられた。「大坂町筋鳥町通り」は、両親や友人への思いを交えて移り行く小倉の町並みを描いた作品。審査委員の元文化庁長官、三浦朱門さんは「さまざまな矛盾した気持ちを、人間の心のひだの奥深くまできちんと書いている。当時の小倉の町を厳密に描いており、両賞に推された」と選考理由を述べた。


また、佳作には、東京都八王子市の団体役員、山下凱男(よしお)さん(74)の「絆〜ある海軍予備士官の足跡」と、千葉県佐倉市の元会社員、大西功さん(71)の「臼ひき老安(らおあん)」を選んだ。


応募は国内外から379点(うち北九州市内31点、同市を除く県内39点)が寄せられた。応募者の最高齢は93歳、最年少は25歳だった。審査委員で市立文学館長の佐木隆三さんは「回を追うごとにレベルが上がっている」と話していた。


表彰式は2月6日、東京都千代田区のホテルルポール麹町であり、大賞作品は6月ごろ学研から出版される。【太田誠一

〔北九州版〕

毎日新聞 2007年1月17日

自分史文学大賞・北九州市特別賞、筑紫野市の中田さんW受賞


北九州市が主催する第17回自分史文学賞の最終審査会が16日、戸畑区の西日本工業倶楽部であり、筑紫野市美(うつく)しが丘北、団体役員中田勝康さん(61)=写真=の「大坂町筋鳥町通り」が大賞と北九州市特別賞に選ばれた。ダブル受賞は2人目。中田さんは「小説はもちろんのこと、自分史を書いたのも初めて。とてもうれしい。時間がたてばもっと受賞の実感がわくでしょう」と喜んでいた。


受賞作は、400字詰め原稿用紙210枚の大作。中田さんは「京都や大阪の町づくりの良さを受け継ぎ、今の小倉につながった歴史を知ってほしい」と、小倉で暮らした少年期(昭和30年代)の思い出と町の様子を約3か月かけて書き上げた。タイトルは、かつて筋と通りで形成されていた町が様変わりし、今では消えてしまった地名などを大切にしたいという思いから「大坂町筋鳥町通り」にした。


作品は、国内外から379点が寄せられた。最終審査会では、作家の佐木隆三三浦朱門、岩橋邦枝の3氏が1〜3次審査を通過した7点を読み比べて決めた。応募総数は3回連続で減ったが、九州からの出品は106点(うち北九州市からは31点)と、初めて3ケタを超えた。


佳作に選ばれた人は次の通り。(敬称略)


▽千葉県佐倉市、大西功(71)▽東京都八王子市、山下凱男(74)

(2007年1月17日 読売新聞)